シネマJACKすぎうら

夏美のホタルのシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

夏美のホタル(2015年製作の映画)
4.2
”夏の陽光”をリアルに感じる美しい映像に溢れた映画。正直、有村架純みたさに鑑賞したのだが(笑)、予想を遥かに上回る素晴らしい作品だった。

登場人物をめぐる境遇も、シンプルながら実に丁寧に説明される手法に好感。主人公”夏美”と父親をめぐる叙情的なシークエンス以外は、回想シーンやナレーションを徹底的に排し、何気ないセリフの中だけで必要な情報提供を完結させているのだ。

以前にレビューした「海よりもまだ深く」と同様、一様な価値観や人生観に依っていない点も好き。それでも、”人間の幸福とは何か”という普遍のテーマを描かんとする、この物語の有り様に泣けてしまう。

役者さんの演技もまた素晴らしい。訳あって家族と離別した中年の商店主を演じる光石研はハマり役ではないだろうか。はっきり言って「恋人たち」の彼よりも、こっちの方が百倍好きだ。

そして、ドラえもんのごとく丸顔がキュートな有村架純の存在感!!
映画の冒頭、(役の上とはいえ)彼氏のベッドから下着姿で出てくるシーンは少々残念。。(笑)
勝手ながら、廣木監督を2016年上半期イヂワル監督に認定させていただきます(笑)。