さいらー

鬼談百景のさいらーのネタバレレビュー・内容・結末

鬼談百景(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

『残穢』の主人公「わたし」のもとに届いた百の怪談。いわゆる百物語の中から10話を様々な監督が短編オムニバス形式で映像化。語り部は共通して「わたし」こと竹内結子。そのしっとりとした語りは雰囲気を出すのに一躍買っている。ちなみに『残穢』がこの100話目という設定。


『追い越し』
肝試し好きの4人仲間は、何も無いとわかりながらも心霊スポットに行っては面白おかしく怖がっていた……。その日も何も無い筈だった。
ありがちな心霊映像系。若干ギャグ。

『影男』
家に響く扉を叩くような不気味な爆音。
幽霊でも人でも、実際に体験したら一番怖いのはこういうタイプ。

『尾けてくる』
人生にまとわりつく一人の男の霊。
怖くもなく面白くもなく。

『一緒に見ていた』
自殺した同僚の女。
幽霊と普通に会話する男がもはやギャグ。笑わせようとしているとしか思えない。

『赤い女』
赤い女の都市伝説。聴くと巻き込まれるという理不尽なそれ。面白半分で関わった怪談話に襲われる女子高生。
アクロバティック都市伝説女がただただ怖い。いやもう一歩間違えればこれもギャグなんだけど、この勢いで来られると流石に怖い。というかもはやどうしようもない。

『空きチャンネル』
毎夜、ラジオで叫び声の後に延々と垂れ流される女の恨み節。プライバシー的に聞いちゃダメなやつなんだろうなーと思いつつも聞き続け、次第に精神崩壊しだす男子高校生Yくん。これなんかヤバイぞ、と気付いた友達のTくん。
Tくんも気になって夜中、その空きチャンネルに合わす。Tくん「あっ……( ˘ω˘ )」
結構趣向が凝らされていて面白い。音割れ演出がうるさい以外は良い出来栄え。

『どこの子』
深夜の学校に残る男子教師二人。先輩教師が「いろいろあるし、はよ帰りな」と言う。後輩「いろいろってなんですの」その時学校に不可解な音が響く。先輩「あっ、ほな帰りますわ」後輩「なんでや!置いてかないで!」後輩を置いて早々に立ち去る先輩。花子さんみたいな女の子に遭遇する後輩。なんかムカついたので果敢に立ち向かう後輩。一方その頃先輩は……。
関西弁の後輩くんがひたすら面白い。怖いというより面白い。でもちょっと不気味。

『続きをしよう』
墓場で鬼ごっこをする子供達。なぜか一人、また一人と怪我をして退場していく。祟られたな〜と言いながら減っていく。否、怪我をした子から帰れるのだ。そして残る最後の子供。怪我をせずに残った子が幸せなのか。怪我で済んだ子が幸せなのか。
ファイナルデスティネーションの如くいろんな怪我をしていく子供たち。怪我をするときの音がいちいちグロい。の割には怪我は大したことない。痛いのが苦手な人はちょっと構えた方がいいかもしれない。

『どろぼう』
Tさんの暮らす集落で子沢山の奥さんがまた妊娠したとかしてないとか。本人は太っただけと言うけど「いや、それ絶対妊娠してますやん」と思う主婦達。
しかし次に見た時にはお腹は減っこんでいる。そしてある日Tさんはまぁちゃんという初めて見る子供に出会う……。
まぁちゃんという子の語る言葉の意味が理解できない。世にも奇妙な物語に片足突っ込んだ話。つまり……どういう事だってばよ。

『密閉』
元カレと住んでいた部屋。閉めたはずなのに、次に見た時には何故か開いている扉の隙間。「はやく荷物取りに来いや……」と元カレに荷物の処分を催促するも、なかなか取りに来ない元カレ。その晩、元カレのスーツケースから現れる貞子もどき!次の日現れる元カレことチャラ男!見るからにた馬鹿!発言もいちいち馬鹿!突然スーツケースに引きずり込まれる元カレ!彼女「これスーツケースも元カレも一緒に処分できるやん!ラッキー」と思った彼女。「Go to HELL!」という捨て台詞を吐いてスーツケースごとゴミとして出す彼女が最高にクール。



もはや最後の方はホラーを見てるのかコントを見てるのかわからなくなっていたけれど、いろんな意味で面白い作品だったのは間違いない。