乙郎さん

ひつじのショーン スペシャル いたずらラマがやってきた!の乙郎さんのレビュー・感想・評価

2.0
 前作を年間ベストにした自分にとっては、少々残念な作品だった。

 まず、テレビシリーズの傑作選はよくできている。映画用に作られたものではないと言ってもショーンたちの動き、本来なら動くはずのないものが生命を与えられて動いていることそれ自体が巻き起こす感動はスクリーンに映し出されることでさらに映えていた。物語にも泣かされた。

 ただ、テレビシリーズ傑作選を観て改めて感じたのが、ショーンをはじめとする羊やら犬やら豚やら、そういった人間でないものが人間と同様の生活をし、人間の生活用品を動物的にアレンジすることこそがこのシリーズを観ていて快感を覚えるところじゃなかったのか、ということ。

 スペシャル「いたずらラマがやってきた」でショーンたちを騒動の渦中に放り込むラマたちが象徴するのは「不良性」であり、それはいわゆる良い子のショーンの中にも確かにある憧れとのこと。
 それは確かに映画を観ていてわかる。だが、それならばなおのこと、この「不良性」≒「ティーン性」には救いを与えるべきじゃなかったか。
 僕の中では、『ひつじのショーン』や『スポンジボブ』のような外国産アニメというのは、グリーン・デイのようなポップパンクや『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同じ「ティーンの頃に感じた外国文化への憧れを想起させる表現」という引き出しに入っていた。だからこそラマたちがまるで『遊星からの物体X』にでも出てくるような横暴な存在として描かれ、最終的には排除されてしまう物語に対して不信感を抱いたのも事実。人間の世界のものをなんでも取り入れるはずの牧場からも排除される存在があるというのは、少なからずショックだった。
乙郎さん

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