鰯

シング・ストリート 未来へのうたの鰯のレビュー・感想・評価

4.4
バラードをやるには勇気がいる

家庭の事情で荒れた学校に転校させられたコナーにとって、唯一の楽しみは兄ブレンダンと見るロンドンのMVだった。ある日学校の前で見かけたラフィナに一目惚れしたコナーは「ぼくのバンドのMVに出て欲しい」と口走る。そこからバンドを作り曲を作るために奮闘する日々が始まった

個人的映画史に残る最高の兄登場です。コナーがロックンロールに浸るきっかけを与えてくれる兄のあの熱狂っぷり。そして見た目。見るからに、この兄は常人じゃないなと思わせる。そして、いちいち言うことがかっこよすぎる
家族の行き詰まりにも早くから気づいていたけれど、末っ子のコナーのような自由は与えられなかった。重くなりそうなドラマを一番背負ってるのに、暗くはならない。あんなに芯の通った人には惚れてしまいますね。ラストには、「これは兄のために作られた映画ではないか」と思うほど感極まりました(ラストカットの少し前)。

コナーが結成するバンドのメンバーが徐々に集まってくるプロセスが、テンポも良くて面白い。ンギグを誘う理由はかなりユニーク(今同じことをやると差別的だと言う人もいると思う)。そして、後半に仲間の1人に彼もまた良かった
ライブシーン、撮影シーンは本当に彼らの感情が徐々に高まってきて爆発する感じがすごく伝わってきてたまりません。

ファッションや楽曲はドンピシャの世代でないけれど、個性的で目も耳も満たされました。
最後の楽曲や、途中で出てくる冒頭のセリフは『はじまりのうた』との繋がりも見えてセットで楽しい映画です
鰯