シネマJACKすぎうら

ダゲレオタイプの女のシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)
4.2
このヒリヒリ感は恐怖なのか、哀しみなのか、あるいは切なさなのか。観ていて判らなくなってくる。

こういう組み立ての物語は、大どんでん返し系の映画に使われがちの設定だが、本作には観客を欺こうとしている意図は全く感じられない。むしろオチを予測できるからこそ、じわじわと忍び寄る恐怖や切なさを体感できる映画。

また、2つの”視点”が巧みに切り替わるカメラワークも秀逸。どこか絵画的にみえる構図も相まって、なんとも美しくも、不穏な空気を漂わせる。
黒沢清監督の前作「クリーピー」と同様に、非常に論理的、計画的に仕掛けられた演出によって、感情を揺さぶられるのだ。

シンプルなラストシーンも極めて印象的。いつまでも観た者の記憶に絡まって離れない感じ。あの”手の震え”は恐怖によるものなのか、哀しみによるものなのか、あるいは深い絶望感によるものなのか。。
興味は尽きない。

※↓動画でも本作を紹介させていただきました!↓
https://youtu.be/aXKszImvWV4