blacknessfall

グリーンルームのblacknessfallのレビュー・感想・評価

グリーンルーム(2015年製作の映画)
3.2
自分の好きなカルチャーとその世界が映画の舞台になると好きが故に映画の出来よりそのカルチャーをしっかり捉えているかに拘って観てしまい、大半の人が気にしない、作品の出来に関係のないマニアックな部分の瑕疵が許せなくてブーブー文句ばかり垂れてしまう○○警察と化してしまう人ってけっこういるじゃないすか?
てか、みんな何かしら好きだから何かの時に警察化するんだよね、おれはことパンクになると強硬なパンク警察、いや、パンク憲兵と化してしまう。

だけに本作は初見の時はとってもがっかりした。
売れないパンクバンドが仕事と割り切りネオ・ナチの集会でライブをして、ネオ・ナチと殺し合いになるてプロットと監督の前作『ブルーリベンジ』が気に入ってたから期待も大きかったんだよ。

こういうあらすじだから殺し合いの発端は仕事と割り切ってきたパンクバンドの面々がネオ・ナチを楽しませるのに嫌気と憤りを感じで、何かしらの挑発をしてそれに怒ったネオ・ナチが応酬して互いが激化して殺り合いになるのかと思ってたんだけど、実際は偶発的なトラブルが重なって成り行きで殺り合いになるというタランティーノ的なクライム・バイオレンスのような流れでズッコケた笑
もうこの段階で映画館からエスケープしようかと思うほどがっかりしたよ。
これなら何もパンクバンドにする必要性まったくないしな。ネオ・ナチ相手に理性的に演奏できっちゃうなんてパンクスじゃあないよ。
しかも、ネオ・ナチの方も腑抜けでバンド側が細やかな皮肉でDead Kennedysの「Nazi punks fuck of 」(Napalm Deathのカバーもかっこいいね♪)を演奏した時にネオ・ナチ達、眉をしかめたり怪訝なポーズを取るだけなんだよ。この曲やられて怒りせずボッーとしてるなんてネオ・ナチ失格だよ!そもそもDead Kennedys自体コイツらの敵の象徴みたいなもんだし。
絶対このシーンから殺り合いに発展すると確信したからワクワクしたんだよ。「おー!この監督分かってるなー🤩」と監督を賛辞しつつ。まさか、ネオ・ナチが困惑しただけで無事にライブが終わるとは微塵も思わなかった、、笑
パンクバンドのメンバーがpoison ideaやMinor threatとかちゃんとしたバンドの名をあげ趣味のいいリアル・パンクスみを出してたから本当に本当に期待が膨らんでだだけにがっかりだったな笑 アンチ・レイシズムはパンクに取って最重要エレメンツの1つなんだからそこを疎かにするんじゃないよ😡
こんなことならGreen DayやFall Out Boy好きのポーザー・パンクス設定にして欲しかった🙄

今回は冷静にパンク憲兵的ながっかりを割り引いて観ると、話運びはスムーズだしスリルを加速し事態を泥沼化させ絶妙なタイミングでバイオレンスがスパークしていてクライム・サスペンスとして充分に楽しめる作品だと思った。で、実際、楽しく観れた。けど、これならやっぱりパンクやネオ・ナチじゃなくてよかった、2つともまったく機能してないと改めて思った笑
blacknessfall

blacknessfall