ばーどイヌサンローラン

ショコラ 君がいて、僕がいるのばーどイヌサンローランのレビュー・感想・評価

3.1
ちょこっとあらすじ

20世紀初頭のフランスで成功を収めた芸人コンビの軌跡を描いたヒューマンドラマ。白人芸人のフティットと黒人芸人のショコラのコンビが脚光を浴びる一方で、人種差別による偏見に苦しむショコラの姿などが描かれる。
19世紀末のフランス。サーカス団員のカナンガ(オマール・シー)は、落ち目の芸人フティット(ジェームズ・ティエレ)に誘われてコンビを組み、ショコラという芸名で活動を開始。瞬く間に人気が出たが、ある日、不法滞在の罪で収監され、拷問を受ける。釈放後、ショコラはますます酒やギャンブルに溺れ、フティットとの溝も深まっていき……。(シネマトゥデイより)



感想

19世紀末から20世紀初頭にフランスで成功を収めた黒人芸人ショコラことラファエル・パディーヤの成功から転落までの波乱に満ちた感動の実話で、人間ドラマ。


白人の芸人ジョルジュ・フティットと「フティット&ショコラ」というコンビを組んでサーカス団で活動を始めると瞬く間に人気が出るショコラ。

って言っても、このコンビの芸って、白人芸人のフティットが黒人のショコラを叩く、蹴る。そして叩かれ、蹴られたショコラがおどける。って芸なんですよ。これで会場、大爆笑。


黒人が叩かれ蹴られて、そしておどける姿に笑ってる、って白人による人種差別。おどけてる下等な黒人を優位な立場の白人が笑ってるってことですよね。弱いものいじめですよね。今だったら全然、そんな差別とか思わないと思いますが、当時の黒人がどういう扱いを受けてたかと思うと…


元々、奴隷の子として生まれ、虐げられている父親を見ていたし、自分もそうして育ったショコラ。それでも最初は笑いがとれて満足だったが、今の自分が当時の父親と被るし、傷つくし、だんだんと不満が出てくる。


そして愛棒も俺が拾ってやったみたいなこというし、明らかにギャラも違うし…



コンビの溝も深まっていく。



そして徐々に酒、クスリに溺れていく。女や不法滞在で投獄された際に知り合った黒人に感化されれ、影響され、どんどん勘違いしだす。笑われるのはゴメンだ。もっと知的なことがやりたいと…


人種差別や偏見に苦しめられる黒人のものがたりなんだけど、それだけぢゃない。




勘違いせず、道化に徹し、身の丈に合った生き方をしていれば、転落しなかったのかもしれないし、もっと偉大な芸人になっていたかもしれない。それは誰にも分からないけど…、最後、ああはならなかったんぢゃないのかな?と思うと…



残念というか、不憫というか、勿体ないというか…



欲をかいちゃいけないって、言ってたおばあちゃんの言葉を思い出しました。





そんなショコラを演じたのは『最強のふたり』のヘルパー役だったオマール・シー。そして相方のフティット役を演じたジェームズ・ティエレは、なんとチャップリンの孫だ。




原題『CHOCOLAT』