シネマJACKすぎうら

パターソンのシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.7
それまでジムジャ作品の中では、『ブロークンフラワーズ』が一番好きだったのだが。。ちょっとこの映画が超えてきたかも(笑)。それくらい、お気に入りとなった一作。

アダム・ドライバー扮するバス運転手の青年パターソンが主人公。ニュージャージー州のこれまたパターソン(笑)に住む彼をめぐる七日間を描いている。彼にとっては日常生活(であるはず)の日々を切り取ったような作風ではあるものの、実はそんな単純な映画ではない。

何も起きていないようで、実は主人公の中では(もしかしたら観客にとっても)人生における"大きな何か"が起きているような、、そんな気にさせる映画なのだ。
そして、その"何か"にまつわる鍵をそっと主人公の元に置いていく役割を日本が誇る"アノ"役者が務めているのが素晴らしい。樹木希林と同じく、魔法の"泣かせ薬"を持ったあの人。

ジムジャ、やっぱり好きだぜ!!

そして主人公パターソンの妻を演じるゴルフシテ・ハラファニの可憐さ!その美しさたるや女神レベル。
そんな伴侶との生活や、彼女の口からふと出る"双子"というキーワードが、本作で描かれる日常に、どこか幻想的な彩りを与えている。

さらには俳優犬ネリーの名演技と彼女(役の上ではオス?!)を捉えた演出がまた見事。なんとカンヌで"パルム・ドッグ"なる賞を受けたネリーは、実は本作が遺作となってしまったらしいのだが。

パターソンを演じたアダム・ドライバーの抑えた演技も素晴らしい。ジョン・ルーリーばりのクールなキャラか、SWシリーズのカイロ・レンのごとく"こじらせ"キャラか、、鑑賞前には色々と想像したが、実際には、そのどちらにも当たらない"繊細な内面"を持ち合わせた、静かなるも屈託のない好青年を演じ切っていた。

終始静かに展開する物語だが、なぜだか心の中にほんのりとした"希望のようなもの"を残してくれる逸品。


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https://youtu.be/Vi_7GHBea8c