はなこたちゃん

パターソンのはなこたちゃんのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.6
この作品そのものがポエムなんですね
その上、パーソナル要素が
とてもとても高いポエムですね

この個性的な監督は
はなから万人受けを狙ってはおらず
誰か特定の人に
いやもしかしたら
自分自身の為に
作品を作っているのかしら
なんとも贅沢✨

パターソンという街の
パターソンなる人の
取るに足らない日常が
淡々と写し出されて
少し不安になるのもつかのま

何故か
あたかも韻を踏む詩の如く
なんとも心地良く
途中から私自身も
パターソンという街の住人になったかの様な
気分になるし
平凡な日常の繰り返し
このリズムこそ
美しくて尊いものだと
心に染みる

そしてパターソンなる人は
パターソンという街がそうである様に
いつも穏やかで優しく
感情を露わにしない

自由奔放な彼の奥さんや
可愛い飼い犬の悪戯
仕事のトラブルも
穏やかにやり過ごす



そんな彼が、
したためてきた秘密のノートを失った時
ひどく落胆する

もう2度と同じ詩を書くことは出来ないからだ

毎日毎日同じ事の繰り返しの様でいて
実はその日常は少しずつ変化している

自然や街の人々、
また言葉を紡ぐ自身の感情・感性も
日々少しずつ変化し続けている
だからこそ
その一瞬一瞬に感じた詩(感動)は
唯一無二のものになる

変わらない様で
少しずつ少しずつ変わって行く
だから尊く愛おしい