音の使い方が良い。多種多様なジャンルの音楽が流れ、それらが非常に効果的なのだ。サントラCDを是非売って欲しい。特に「無音」が素晴らしかった。
カメラワークも良い。とにかく走る署長を、目線、足元、全身、様々な角度で捉える。血や泥に塗れる署長は、大変野生的だった。
署長の「自分なりの正義」を貫き通す姿勢にも、説得力がある。鈴木との信頼関係の描き方も、くどくなりすぎない。
ただひたすら前へ進む署長と、戸惑いながらもついていく鈴木は、まさに「バディ」。緊張が張り詰めるシーンも、鈴木がいるとユーモアになる。ラストシーンの2人が、潔くて心地よい。
本作はロードムービーだ。私のよく知る街がたくさん映ることが嬉しかった。
関西の街並みも、しっかり現地での撮影があった。ちゃんとカメラが「現場」へ足を運んでくれているということが嬉しかった。
とにかく題材が重い。特に、宗教について考えさせられる。神様はいるのか、いないのか。いるのであれば、どこにいるのか。
「限られた予算の中で、少ないスタッフの中で、いかに心に残る作品を撮るか」。監督は苦心しただろう。その情熱が、スクリーンからほとばしっていた。
エンドロールが流れた後、思わず拍手をしてしまったのは、私が鈴木役・浜野謙太さんのファンだからだろうか?
いや、それだけではないはずだ。