ヤマノヒ

ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYSのヤマノヒのレビュー・感想・評価

4.3
 音の使い方が良い。多種多様なジャンルの音楽が流れ、それらが非常に効果的なのだ。サントラCDを是非売って欲しい。特に「無音」が素晴らしかった。

 カメラワークも良い。とにかく走る署長を、目線、足元、全身、様々な角度で捉える。血や泥に塗れる署長は、大変野生的だった。

 署長の「自分なりの正義」を貫き通す姿勢にも、説得力がある。鈴木との信頼関係の描き方も、くどくなりすぎない。
 ただひたすら前へ進む署長と、戸惑いながらもついていく鈴木は、まさに「バディ」。緊張が張り詰めるシーンも、鈴木がいるとユーモアになる。ラストシーンの2人が、潔くて心地よい。

 本作はロードムービーだ。私のよく知る街がたくさん映ることが嬉しかった。
 関西の街並みも、しっかり現地での撮影があった。ちゃんとカメラが「現場」へ足を運んでくれているということが嬉しかった。

 とにかく題材が重い。特に、宗教について考えさせられる。神様はいるのか、いないのか。いるのであれば、どこにいるのか。

 「限られた予算の中で、少ないスタッフの中で、いかに心に残る作品を撮るか」。監督は苦心しただろう。その情熱が、スクリーンからほとばしっていた。

 エンドロールが流れた後、思わず拍手をしてしまったのは、私が鈴木役・浜野謙太さんのファンだからだろうか?
 いや、それだけではないはずだ。
ヤマノヒ

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