ひでG

だれかの木琴のひでGのレビュー・感想・評価

だれかの木琴(2016年製作の映画)
3.2
惜しいな、面白い作品になる要素もあったのに、狙いは悪くなかったのに、

日本映画の弱さが出たな。
同じ題材をオゾン監督が撮っていたら、どんなワクワク感と罪悪感のある作品に仕上がっただろう。

映像的にも演技的にも、中途半端で終わらせちゃうから、手応えまで掴めない。

平凡な主婦がたまたま髪をカットしてもらった美容師のストーカになる。

最初に出した営業メールに返信が何度も、段々とベッドメーキングの写メが送られたり、自宅まで訪ねたり、と主婦の行動はエスカレートしていく。

主婦役の常盤貴子が淡々と演じているのは良い。
内面の描写や説明が略されているのも良い。
家族の問題の昇華でないところも良い。

ただ、演技や演出からは、湧き上がってくる何か、
ストーカーに駆り立てる何かは描き切ることができない。

回想シーンでやや直接セクシャルなイメージを見せるが、あまりにも中途半端。
オゾンだったらとことん行くのに(・_・;

ストーカされる美容師が、なぜかこーゆー役が多い池松壮亮。
これまた淡々と演じている。

直接的なセクシャル描写がないのなら、
せめて、髪を切るという行為を疑似セックスとして表す技術ぐらいは欲しい。
例えば、「ファントム・スレッド 」が洋服を仕立てる、着せるを最高にセクシーに見せたように。

美容師の彼女役の佐津川愛美が感情的になるところはバランスとしては面白いけど、怒鳴っても当然かな、
なぜ池松壮亮が諌めるかが分からない。

夫役の勝村政信はミスキャスト。演技も人物描写も薄く、全体の足を引っ張る。こーゆー微妙な役はテレビ垢の付いてない人をせめてキャストしよ。

終盤のまとめ方はがっかりで、このまま終わったら、何やねん?!て思っただろうが、
ラストカットの常盤貴子のある行動で、映画的には救われた!?

だから惜しいのよ、

題名の意味は全く伝わらない!
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