地味だが、素晴らしい映画だった。
第2次世界大戦中のドイツで、息子を戦争で失った夫婦が、総統と戦争への怒りをカードに記し、街角に置くというレジスタンス活動を行った実話を元に作られた小説を映画化。
ナチス政権下の恐怖政治の様子が、じわじわと伝わってきて、胸が締め付けられた。ダニエル・ブリュールが演じた警部の辛い立場や、彼が取る選択の壮絶さに言葉を失う。警部は、主人公達とは敵対する立場で、単純に言えば、悪者役なのだが、善悪や良心よりも、国家を優先させなければ、自分の身も危ないという恐怖を見事に演じていて、素晴らしかった。
そして、何より、主人公夫婦を演じたブレンダン・グリーソンとエマ・トンプソンのいぶし銀の演技がとても見事だった。夫婦2人の意思の強さと最期に、胸が熱くなる。
最期に、警部に「何か必要な物は?」と聞かれて、オットーが「カードとペン」と答えるところが、秀逸。
余談ですが、夫婦を演じるのは、ハリーポッターのマッドアイ・ムーディー先生とトレローニー先生。