よりとも

ブラック・スワンのよりとものレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
3.6
知り合いからホラーじゃないけど怖かったと聞いて興味を持ち視聴。ハリウッド女優ってバレエもできるんだと率直にすごいと思った。(もちろん経験者が起用されているのだろうけれど)

物語はバレエ団で主役の座をねらうニナ(ナタリー・ポートマン)が役に執着するあまり、身と心を徐々に滅ぼして行く話。技術も高く、清楚で品のある白鳥役にぴったりのニナだが、「白鳥の湖」は、一人二役。妖艶で官能的な黒鳥の役も同時に行う。そんな、経験も気持ちも味わったことがないニナは、主役に抜擢されたものの、演技は淡々としており、演出家にも見放されそうになる。いつか役をだれかに取られるのではないかという不安と、母親の過保護な愛情。周囲への不信感等から徐々に狂気錯乱していくニナ。体から異常な出血。友達との性交渉。幻覚・幻聴。そして最後には…

役に執着するあまり、自分が自分で無くなる様子が見事に表現された作品。内なる自分がホワイトスワンなのか。ブラックスワンなのか。追い求めるあまり精神分裂が起きていくニナ。ニナの母親が言った「あなたは、役に潰されている」という言葉が言い得て妙。そして、何よりブラックスワン化したニナの形相がすごい(こわい)。悪の化身かのように踊り狂う姿は、体が蝕まれていることをも快楽のように感じ踊っている。それを表現しているナタリーポートマンはやはり名女優だ。

演技力は高いが、ストーリー的にはもうひと押しほしかった。ホラー要素を高めたことで、語弊が生まれる作品になったような気がする。
よりとも

よりとも