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冷たい熱帯魚のTSのレビュー・感想・評価

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
4.5
【実話ベースのバラバラ殺人事件】
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監督:園子温
製作国:日本
ジャンル:犯罪
収録時間:146分
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ヤバすぎる。鑑賞後暫く凍りつきました。実話をベースにしていてかなりヤバい映画と聞いてましたがまさかこれ程とは。。実話ベースということで遺族の方などもいらっしゃると思いますのである程度の配慮を心がけた文を書かなければなりません。また「傑作」という言葉は不適切な気もしますので今回はタグでも使用しませんが、よくこんな途轍もない作品を作ったなと驚愕するばかりです。

静岡県で熱帯魚屋を営む社本一家。妻は三年前に亡くなっていて、夫の信行はすぐに妙子と再婚をする。それを良く思っていなかった娘の美津子はぐれはじめ、ある日万引きという非行を犯してしまうのだが。。

エログロバイオレンスのオンパレード。特にグロ要素が高く、最近の作品であれば『ホステル』や『グリーンインフェルノ』を難なく見れる人でなければ到底勧めれません。また人の狂気をふんだんに描いているため、このあたりも相当な覚悟が必要です。ここ最近のドロドロとした邦画でも「R15」だったのに「R18」となるとどんなものになるのかと思ってましたが、間違いなく今作はR18です。納得の描写の数々。そしてこれが実話ベースというのだから更に恐ろしい。

僕はこれを見て真っ先に
「死んだら安らかに墓場で眠りたい」と思いました。当たり前のようなことかもしれませんが、今作を見ていたらそうも言ってられない。こんなバラバラ殺人をされて遺灰は川に流され臓器は川の魚に食わされるとなると死んでも死にきれません。
この狂気の沙汰の殺人鬼を演じたのがでんでんであります。どの役者も狂気じみていましたがやはりでんでんがグランプリでしょう。経営者としての表の顔がありながらも、時には怒声をあげて、時には笑いながら殺人を犯す裏の顔を持つ男を演じ、その狂気具合には震えてしまいました。

終始反抗出来ない主人公信行にも極上の苛立ちが募りますがこれは仕方ないです。客観的に見ると苛々でしかありませんが、主観的に見ると間違いなく信行のように何も出来ないでしょう。少しでも逆らったら家族共々あのようなバラバラ殺人をされてしまう。タイマンで勝てそうでも躊躇するのは当然でしょう。そしてそのフラストレーションはラストで全て信行が片付けてくれます。いわゆるカタルシスというやつですが、一筋縄ではいきません。

18禁ならではのエロ要素もあり、おまけに吐き気を催すグロ要素。まさに手加減することを知らない、ある意味「本気の映画」であります。したがって受け付けない人からするととことん受け付けない映画でありますので、好き嫌いが別れる映画でしょう。
僕はこういうドロドロとした映画には高評価をつけがちです。何故なら、監督、俳優たちが劇とはいえよくこんなことをするなあと深く感銘を受けるからです。口が滑ってもあんな役を是非したいという役者はそうそういないでしょう。誰かがしなければならない中、躍りでるその役者魂に心を打たれてしまいます。

のほほんと見れれるのはせいぜい最初の20分程度。熱帯魚屋アマゾンゴールドを営む村田がブチ切れてからは最後まで気を抜くことが出来ません。中盤に出てくるヤ○ザとのやり取りのシーンもハラハラしますし、怪しい家での解体現場はトラウマものです。そして恐ろしいことにこんな事件が過去にあったというのが最大の衝撃です。人権も何もない。平和な社会が持続してほしいと強く思えてしまう作品でありました。

現在のところ、今までみた邦画の中でも突出してるエログロバイオレンス、サイコパス映画です。十二分に満足しましたが精神的にかなり疲れたのでもうしばらくは再鑑賞は出来ません。気になる方は相当の覚悟を。。
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