ひやしぐま

冷たい熱帯魚のひやしぐまのネタバレレビュー・内容・結末

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

初の園子温監督作品鑑賞。
パッケージの雰囲気から、静かでジメッとした変態的な狂気の物語かとイメージしてたけど、描かれていたのは湿度0%のアクティブで積極的でマッチョイズムな威勢の良い狂気だった。チンドン屋みたいにやかましくて岡本太郎並みにエネルギー満載で毒々しくて、夢と希望を狂気と暴力にすげかえたミュージカルを観ているかのようだった。


でんでん演じる村田は、聖職者?の厳格な父に罰と称して虐待を受けて支配されていた過去が破壊的人格形成の根源だったのだろうけど、もしかして村田って父親を殺したのかな?
自らの力で現実を支配する。人懐こい笑顔と明るいお節介で相手の懐に入り、相手の弱みを掴むやいなや暴力的に支配が始まる鮮やかさよ、、、社本にとって村田は、弱みを握られただけでなく、自分の持っていないものを持っていると感じだからこそ支配されてしまったし、憧れから同化していったのだろうと思う。

後半はほぼフィクションとのことだが、それであればもっと社本に救いのある、魂の成長のようなラストにしてほしかった。
息を呑む展開で楽しかったが、救いが無くその後の娘の人生も想像すると悲しいと思った。