いの

バリー・リンドンのいののレビュー・感想・評価

バリー・リンドン(1975年製作の映画)
4.0
レイモンド・バリーがバリー・リンドンとなるまで
    &
バリー・リンドンになった後について


18世紀後半、アイルランドの青年の成り上がり。不思議な巡り合わせに乗っかりながら、そこに本人の生来の気質が大きく作用し、激流に呑み込まれたのか激流を呑み込んだのか、それとも自ら激流を発生させたのか、いやいや他者からみたら激流でもなんでもない、さもないことなのか。(関係者からみたら大きく運命を変えられてしまったけれど) 


もう冒頭の決闘の場面から楽しくて笑ってしまった。ページをどんどんめくってその先を知りたくなるような小説のように、するすると観ることができた(特に前半)。後半はじっくり。 


それぞれの雲のかたちや雲同士の配置まで完璧。監督は空の雲にも注文だして演出したのに違いない。素晴らしい絵画のような風景がいくつもいくつもあった。音楽も衣装も美術も全部すごくて調和がとれている。なのに物語は重厚というのとはちょっと違くて、だから肩肘張らずに観ることができた。ライアン・オニールずっと観ていられるのもうれしい。エレガントなマリサ・ベレンソンの立ち姿の美しさ。バスタブと椅子が合体しているようなものにも見とれる。貴族ってすごい。ブリンドン(妻の長男)は、クラウスキンスキーに似ていると勝手に思ってしまったのでそれもうれしくて。決闘ではじまり決闘で終わるけど、どちらの決闘にもお笑い要素が盛り込まれ、キューブリックってこういうのも得意なのねとフムフムした(何様)


「女王陛下のお気に入り」公開時に今作のことが話題になっていて、いつか観たいと思っていました。ようやく観られたぞー


メモ
・七年戦争(1756年~1763年)
・フリードリヒ2世(在位1740年~1786年)
・ジョージ3世(在位1760年~1820年)
いの

いの