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未来よ こんにちはのmajiziのレビュー・感想・評価

未来よ こんにちは(2016年製作の映画)
4.0
おフランスはお年を召したマダムでも自立して恋愛してて〜とか、そんな幻想を打ち砕く作品。
「40過ぎた女は生ゴミ」とイザベル・ユペール様に言わす。

若い頃はマルクスかぶれのインテリだったが、今は哲学教師に落ち着いているナタリー(イザベル・ユペール)は子供達は独立し、母の介護に手を焼いている。
そんなある日、いきなり夫が好きな人ができたので別れて欲しいと言い出す。

死ぬまでずっと一緒だと思っていた、だけど口惜しいのは自分が長年お手入れをしてきた毎年バカンスを過ごす夫の実家の庭。
あっさり離婚に承諾し母も施設に入れるも、明るくはない日々。

思い通りにいかないというよりも、熟年になってガラガラといろんなものが崩れ落ちていく喪失感には心が痛くなる。
たくさんのしがらみと、そこからの自由とは。

孤独に押しつぶされる人もいるんだろうけど、孤独が人生を豊かにすることも嘘ではないとわかる。何があっても、人生は続く。

ラストがとても丁寧で、美しい歌が流れる。
デブの黒猫の名前はパンドラ。
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