トーリターニ

透明人間のトーリターニのレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
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大傑作。
古典SFホラー作品のリブートとしてはこれ以上無いほどの出来栄え。

とにかくカメラワークがカンペキ。
「空(から)」を視せつづける演出が非常に不気味。「何かがあった」状態の画が断続的に続くことで、「何かが(まだ)いるかもしれない」感覚を植えつづけられる。

そして前評判に聞いていた通り、かなり色濃くフェミニズムが表現されている。
従来の男性社会において、女性は直接的な不条理は勿論、視認出来ない暴力性を感じながら生きていたのかもしれない。
男に脅かされ続けた女による、男からの解放。
別にフェミニストではないため、同調や共感は全く無いものの、強い製作理念を感じるストーリーだった。

最新鋭の光学迷彩による透明化など、かつての『透明人間』とのドラスティックな転換が図られており、同時に古典的な男性社会からの脱却も表現している。

まさにリブートと呼ぶに相応しい。ユニバーサルによる新たなマスターピースが誕生した。

偉そうなことを言ってしまったけれども、1933年版の『透明人間』は未鑑賞。観ておかなければ。