すずき

透明人間のすずきのレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
3.5
光学博士のエイドリアンは、恋人のセシリアと豪邸に住んでいる。
セシリアは、エイドリアンの異常なまでの束縛に耐えかね、家を出て行ってしまう。
その後、エイドリアンの報復を恐れるセシリアの元に、彼が自殺した、との報が。
しかし、それからセシリアの元に怪異が起き始める。
セシリアはエイドリアンが生きていて、透明人間になった、と主張するが、周囲の人達からは精神を病んだセシリアの妄想だと言われ…

トム・クルーズの「ザ・マミー」が失敗し、早々に打ち切りになったダーク・ユニバースシリーズのひとつとして企画されていた作品。
透明人間の原典は知らないんだけど、透明になった男が1人の女性をターゲットにストーキングしたり嫌がらせしたりで、スケールの小さな身近なホラーとなっています。
その身近さがかなり嫌〜で、高ストレスな作品。

しかし透明人間の存在が、割と早い段階(毛布の足跡あたり)で、明確に描写されているのが想像してたのと違って残念。
「エクソシスト」みたいに、後半のクライマックスまで、現実とも妄想とも取れるぐらいにボカして表現するのかな、っと勝手に期待してた。

あと、セシリアが病んでると思われて信頼を失っていく過程がちょっと急な感じ?
もっとじわじわと疑われていくものかと思ったら、一気に信用無くすのね。
それも嫌〜な感じだけど、じわじわ追い詰められるよりかはまだ比較的、ストレス度は低いかな。

ラストの展開、「明確に描写されない」オチが結構好き。
そう言えば、エイドリアンがセシリアを異常に束縛するような描写は劇中で描かれていない。
またセシリアは、エイドリアンを「顔を見られただけで考えが読まれてしまう」と評するが、ラストの彼は少し迂闊で、セシリアの考えを読めているとは思えない。
果たしてエイドリアンはセシリアの言う通りの人間だったのか、真相をボカすラストの後味が良かった。
欲を言えば、そのどちらとも取れるオチへの伏線がもう少し欲しかったし、中盤の展開にも一捻り欲しかったが。