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劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケールのTSのレビュー・感想・評価

2.8
【現代社会に侵食する架空世界】65点
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監督:川原礫
製作国:日本
ジャンル:アニメ
収録時間:119分
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2017年劇場鑑賞22本目。
友人にかなりオススメされたため鑑賞。しかし、知識ゼロですし、なんせ『ララランド』の後に鑑賞したため、わかっていたことですが微妙でした。以下、原作やアニメを一切見ていない状態での感想なのでご了承ください。確かに発想は面白いですし、世界観も中々良く、忠実に現代の日本を再現出来てるなと言え興味深かったですが、戦闘シーンにはついていけず。当たり前ですが、ファン向けの映画と思われました。

2020年代の近未来の日本。2年前の一万人のユーザーを人質にとった「ソードアートオンライン」を生き抜いたキリトたちは平和な日々を過ごしていた。それから2年。VRに変わり、AR型情報端末、通称「オーグマー」が流行し出すのだが。。

一応最初にこれまでの解説が入りますが、やはり今作が初めてな人からすると少々ついていくのは厳しいかと思われます。とにかく、現在のスマホ社会から更に一歩進んだような日本が舞台です。このオーグマーという機器は中々興味深いものでして、従来のVRMMOが自身の意識を仮想空間に移転しなければならなかったのに対し、オーグマーはそれらの手間が省かれます。詳しくは僕も原作を見てないのでわかりませんが、つまり現実空間にいたまま、そして覚醒状態のまま利用出来るということです。それらを普通に使う人々が描かれますが面白い。何故なら、これくらいの技術ならば遅かれ到達出来そうだからです。すると、そこから出てくる弊害は何なのかと考えずにはいられません。現実空間の中に架空のものを内在させることがいかに危険か。恐らく何が本物で何が偽物か区別できなくなる人間が量産されそうな気もします。高度な技術とは諸刃の剣です。便利になる分、リスクも高いです。転じて自分もそうですが、ITに頼りすぎる社会になっていくのは人類の成長としてはナンセンス。「もしもの世界」を考えたらキリがないですが、もしもITがなければ現代人は何もできない存在となり得るでしょう。それこそ『サバイバルファミリー』で描かれたことが参考資料になってくるのかもしれません。

と、逸れた話をして誤魔化しているのですが、とにかく今作はそういう時代に入った中でのRPGファンタジー映画です。RPGでファンタジーとなれば、素っ頓狂な世界観での話の展開が普通でしたが、今作の舞台はあくまで現代日本。そのあたりが斬新で面白いと思いました。主人公たちは剣で時にはモンスターを倒しますが、時には「カラオケ館」で普通にカラオケもします。架空の世界と現実の世界の交錯。これが面白い点でもあるのですが、逆に言うとこれらの明確な違いを理解できてきていない現代人への皮肉とも思えました。いつしか架空の世界が現代社会を侵食していくのではないかと思ったりもします。

そのあたりの世界観、そしてメッセージ性は面白かったですが、やはりキャラクターや戦闘シーンにはついていけず。まあこのあたりは仕方ないですね。本格的な内容に関してはファンの方に譲りたいと思います。
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