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T2 トレインスポッティングのcchhiikkaakkooのレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
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今もなお、あの頃に生きている彼ら。


久々に会って話し盛り上がるのは、お互いの今の状況よりも、おなじ時間を共にした過去のことで、2度とそこへは戻れないのに、戻れないからこそ浸ってしまう。大金を掴んでも、チャンスをつかんでも、簡単には変われないのが人間ってもんなのかもしれない、いくら年を重ねて大人になったとしても。「人生を選んで」きたつもりだったのに、今いる場所と今ある自分は、流れ着いた結果に過ぎないのかもしれない。昔と変わらぬクソみたいな状況にいようとも、それでもなんとか生きてくしかねーんだな。life goes on。夢中になれるものが何かあればいいのにね、きっとそれは時に救いになる。



トレスポを初めて観たのは中学生の時。なんてかっこいいんだ!と思ってしまったあたしは(良いんだか悪いんだか)いつしか彼らのような生活を選んだ。アディクトたちと共に暮らし、毎日のように深夜までパーティーをして、週末になればクラブへ行き、ひとときの快楽に溺れる。あの頃は常に音楽とセックスとドラッグがそばにあった。ほんとうに最低で最高で、ただ毎日が楽しいだけだったし、それが正解なのだと思ってた。あれからもう7年が経とうとしているけど、あの日々が戻ってこないことも、あの頃のような快楽を2度と味わえないことも、もう十分に分かってる。



映画を観ながらどうしたって泣いてしまった。懐かしくて、でも戻れなくて、「いま」の彼らは決してかっこよくなんかなくて(むしろ情けなくて苦笑い、だけど彼ららしくてやっぱり最低で最高だったりするんだけど)。前にしか進めないことなんて分かりきってるつもりなのに、ひとはどうして振り返ってしまうんだろう。ノスタルジーに浸るため?いやいや、たぶんそうじゃない。過去に縛られてる彼らがいるからなんだと思った。選べ、選べ、少なくなってしまった選択肢の中から。クソみたいなとこにいても這いつくばって、なんとか選んで、最善を尽くす他ないんだよきっと。クズにはクズなりの人生を生きるしかないんだよ。だからクソみたいなあたしもね、あたしなりに生きてくしかねーなって、悲しくなりながらもなんだか少し励まされたよ。だからありがとうレントンにシックボーイ、スパッドにベグビー。
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