次男

3月のライオン 前編の次男のレビュー・感想・評価

3月のライオン 前編(2017年製作の映画)
4.1
零くんの住まいの近くに住んでいるのだけど、まさに東京!って具合の景色が広がっていて、水と橋が多くて、あと風がとても強いところです。
綺麗やのに、歩いとるだけで無性に寂しくなる感じがあって、その感じがこの映画と一緒で、(それに関しては原作よりも伝わってきて、)だからこのあたりが舞台なんだなーとよくわかりました。零くんの住む部屋からしてもう好きでした。川の側、一面が窓のあの部屋。とてもいい部屋でした。この映画っぽかったです。

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とにかく、みんなぎりぎりでもがいていて、たしかにそれは感傷的すぎるのかもしれないけど、大なり小なりこうだよなーとか思いました。

映画とかドラマとかにでてくる人物って、完成されてるっぽく見えます。なんというか、道半ば感がないのです。その点、この映画の人物たちは、みな途中の人っぽかったです。感傷的すぎる描き方のせいかな、でもそれが大変好きだった。「途中の人っぽい」なんてぜんぜん伝わらないと思うけど。

神木さんは本当に良いなあ。こなれ感がぜんぜんない。ご本人はとにかく食に関心がなくて「食事はマクドでいい」方らしく、そんなところも含めて零くんととても似ているのかも。

一番ぐっときたのは、奥野瑛太さんの投了の台詞。あんなん、芝居じゃないやろう!思わず巻き戻して三回観ました。

といった具合に、内容云々をさておいて、まず人間の存在感がとても好きでした。

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そんな人物造形を中心に、原作の素晴らしいところを殺さない、実直で堅実な映像化だと思いました。

人や将棋はもちろん、街をきちんと映しているのが印象的だったし、それが成功の秘訣なのかもしれない。冒頭の将棋会館まで行く道すがら、窓から見える風景、あかりさんたちの家の周り。それぞれのシーンや象徴するものを、きちんと包んでいるロケーションだなあと思いました。

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「もうすこしここが観たかった」というところは、きっと後編で観れるのかな。とても楽しみだなあ。観終わったら真昼間に散歩しようかな。
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