Habby中野

オールド・ジョイのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

間延びした時間、しかしそれには進行方向がある。どんよりとした景色は、時間にさらされてゆっくりと侵食されていく。「酸化」と言うよりは「錆びつく」ほうがロマンティック?
進むしかない者と進むことのできない者の邂逅は、逆方向に引っ張り合い、方向を失い、停止する。片方が湯から上がり、くだらない話をし、もう片方は湯に浸ることでトリップする。二人の周囲には、限りなく静止に近い遅さで進む時間がある。彼らはそれに促されるように語り、また惚ける。これは「過ごす」ということの意味だ。
間延びした時間を切り裂いて山を下り─時間は標高が高いところの方が速く進む─まるで進むのではなく少し前に戻るかのようにして帰る。しかし、速度を問わず進み続ける時間にさらされ、戸惑い、一人はその中でまだ、迷い続けている。時間は存在しないのではなかったか……。
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