あぴぽぱん

彼らが本気で編むときは、のあぴぽぱんのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
3.2
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LGBTQ/育児放棄/性/家族/子供/いじめ/
人権/児童相談所/編みもの/胸/自殺/母親/血縁
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2012年の米国映画『チョコレートドーナツ』
を彷彿とさせる作品だなぁと感じました。

育児放棄、ジェンダー問題、人権意識が今作のテーマで
親権や家族についても考えさせられます。

トモはリンコと出会うことで、愛情や親心、
同棲愛、トランスジェンダーについてなど
今まで知らなかった沢山のことを一気に学びます。
優しさに触れることで今までは耐えれた孤独な生活も
苦しかった過去の生活として認識され、
リンコの母のリンコへの強い愛情を見て
自分は親に愛されているのだろうか?という
疑問も少女の中で生まれたことでしょう。
また、ホモだとしてクラスでいじめを受けている
幼馴染の男の子への対応にも変化が生まれます。

自分の人生さえ他人事のように
とても小学生とは思えない生活を送ってたトモが
共同生活をはじめることで、様々な感情を露わにし
子どもらしさを少しずつ取り戻していきます。

家族の絆に血の繋がりは関係ないと言うのは
私が大好きな漫画ONEPIECEでいつも感じますが、
この映画でもそれを強く感じました。
あたたかい話と思って見始めたので、
最後まで悔しくてたまらず涙がポロポロ出ました。
純粋な子供の気持ちを簡単に壊してしまう
大人達ってほんとになんなの?!と
はらわた煮えくりかえって治まりません…

私は腹が立ったり納得しないことがあったら
すぐに声を上げる人間なので、リンコが
編みものをしてグッとこらえるという行為は
理解できないものもありました。
逆に、トモも教わった通り編みものをして怒りの感情を
押し殺そうと頑張るけど悔し涙が止まらないシーンや、
我慢出来なくて怒るシーンはすごく共感できて
その度に涙を誘われました。

平和な暮らしが始まろうとしていた時に
ふざけた顔して戻ってきたバカ親…
「母親である前に私は女なの!」と言う
私が最も大嫌いな名言を発していました。
これだから女は大嫌いなんですよ(同性の恥)。

ただ悲しいことに、腐っても親。
大人は子どもを捨てれても子どもは大人を捨てれない。
(‪ここで大事なのはあくまで大人か子どもか)
何故なら子どもの方が清い心を持ってるから。
トモが最後はまた子どもらしさを一切感じない
虚ろな顔に戻ってしまっていて、許せませんでした。
正直胸糞悪すぎて今もまだムカムカしています。

きつい時はきついと言っていいんだよ、と
トモに声をかけてあげたいと思いました…。
実際にはもっと拠り所さえ与えられていない
こどもたちが沢山いるのだと思います。
それを思うだけで胸が苦しくなりました。
愛情を注げないのなら産むべきではない。
生殖方法変わらないかなと思いました…
ここのカップルなら子供を大切に育てるだろうな、
と言うところにだけ命が授けられるような
システムに変わって欲しいほんとに…。


リンコの役は生田斗真さんが演じていましたが
顔が美しい…さすがジャニーズです。
仕草も女性らしさをかなり意識されてました。
子役の柿原りんかさんは名演技でした。

第67回ベルリン国際映画祭・パノラマ部門正式出品、
ジェネレーション部門特別上映作品で、
日本映画初のテディ審査員特別賞と観客賞を受賞しています。

見終えた時に心がずしーんと重くなる
そんな映画だと私は感じましたので、
まだ見られてない方は視聴するタイミングを
考えた方がいいかもしれません…。

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