あぴぽぱん

彼女が好きなものはのあぴぽぱんのレビュー・感想・評価

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)
4.0

恋/BL/絵/幼馴染/温泉/不倫/摩擦/壁/
同性愛/家族/高校生/自殺/学校/遊園地/
同級生/クラス/体育/ゼリー/ヨーヨー/ペンギン

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今となってはテレビでも沢山あるBL作品。
『おっさんずラブ』に『きのう何食べた?』は
日本でも一躍ブームになった作品だと思いますし、
『消えた消しゴム』というドラマは私の27年の人生で
最も好きなドラマとなったほどハマりました。
しかし私が学生の頃は腐女子というものは非常に嫌煙されていた
記憶があるし、私もそういう目で見ていた気がします。
まして、同性愛について当時は全く考えてませんでした。

今作は、『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』
という作品の映画版であり、2019年には
『腐女子、うっかりゲイに告る』と言う題名で
ドラマ化されています。(私は見てる途中で
なんか似てるなと思って調べて同作と知りました)

腐女子にとってBLの世界はファンタジー。
しかし、当人らにとってそれは大きな間違い。
『創作物』と『現実』の間にある大きな許容差を
痛感せざるを得ないストーリーだと思いました。
きっとこの作品よりもっと苦悩が多いのが現実でしょう。

世間一般的に言う“普通”という囲いの線が
多様化社会が進んでいくにつれて少しずつ
ぼやけていっていることは非常にいいことです。
しかし、この線が消えることはないでしょう。
理解してるような面をしながらも
どこか他人事、絵空事として捉えられている人が
殆どだと思いますし、私もその1人なんだろうな
と考えさせられてしまいました。

同性愛についてクラスで意見を出し合うシーンが
出てくるのですが、そこがとてもリアルでした。
あー、誰に話し合いさせてもこういう感じの
空気になるんだろうなぁ…と
リアルさに納得するも嫌悪感が込み上げます。

非常にデリケートな問題として扱いすぎる学校、
そして社会。過敏になりすぎることで
余計に大きな壁を作ってしまっている気がします。
というのも私の独りよがりかもしれません。
実際には知らない著名人の話や面識のない人の
書いた本を読んだところでどこか曖昧であり、
結局私の想像の中でしか持論を固めることが出来ません。

映画の話に戻りましょう。
私が涙腺持ってかれたのは、三浦さんの
『地球上の男子全員ゲイだったらいいのにって思っていた私が、
唯一ゲイであって欲しくなかった男の子はゲイでした。』
と公表するシーンでした。
三浦さんの心情を思うともう…ね。
どんなに頑張っても叶わない恋なんだなぁと…(泣)
純が悩んでいるのは当然のことですが、
きっと同じくらい三浦さんも悩んだはずです。
自分に本気じゃなかった純に対してもっと
怒っていいはずなのに、まだ高校生なのに
三浦さんという子は非常に素敵な女の子です。
相手を思いやれる三浦さんは本当に心から
純のことが好きだったと思います。

また、この後の
『最初は男だから好きになったのかもしれないけど
今は彼という人が大好きなんです』
という言葉が刺さって刺さって…
きっと三浦さんが男だったら純は三浦さんを
恋愛感情含めて好きになってたんですよね。
男とか女とか…焦れったい!と叫びたくなりました。
重い話と捉える人もいるかもしれませんが
私は恋愛って難しいなぁとつくづく思いました。

三浦さんのスピーチにはこの作品が伝えたいことの全てが
表現されていると思います。
大人達がスピーチを止めようとしたのも
高校生達が話を続けさせろと言ったのも、
世代での認識の若干の違いが現れてる気がします。

ここ10年で認識が変化したテーマですね。
興味というと語弊がありますが、何かしらの
アクションを起こすことが何においても
大切だと様々な映画を見る度に思います。
現代に生きる上で無関心は重罪です。
私は無関心は無知と同じだと思っています。
色んな価値観の人がいるのは当然で仕方がないです。
自分のことを100%理解することは自分自身でも
容易いことでは無いので、ましてや他人を
理解することは不可能だと思います。
しかし、理解する努力は必要なのではないでしょうか。
SNS時代だからこそ知見を得ることも以前より簡単です。
前述した通り、それだけで分かることなんて
1/10にも満たないと思いますが、
『見聞を広める』というアクションを起こすことを
私はやめたくないなと強く感じました。

この作品を見た方がいらっしゃれば
ぜひ感想を聞かせてください!

P.S.
最近は異常なほど『イケメン』を欲してるらしく
私にしては珍しく邦画を見漁っています。
今作も神尾楓珠さんがとてもかっこよかったです。
また、磯村勇斗さんの声がとても素敵でした…。
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あぴぽぱん

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