回想シーンでご飯3杯いける

エル ELLEの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
3.4
以前にも何かのレビューで書いたけど、フランス人は恋愛やセックスが本当に好き、、、というと語弊があるかもしれないけど、少なくともそれを映画の題材として楽しむ事に関しては、恐らく世界でトップクラスだと思う。

LGBT映画が多いのも、男女間では描ききれない恋愛模様を求めるが故のような気がするし、本作のように犯罪を絡めた映画が定期的に出てくるのも、より複雑に絡んだ愛憎劇を求めるが故なのだろう。

イザベル・ユペール演じる主人公は、レイプ被害経験を持ち恐怖に怯える毎日を送っている。犯人がマスクをしていた為、犯人が誰だったのか解らないままになっているが、どうも顔見知りの人間なのではないかという疑惑が芽生え始める。憎むべき相手と、セックスの対象として接近する男の境界線が崩壊し、彼女の行動がエキセントリックに変化していく。

主人公が勤めるゲーム制作会社と、家族と近所の友人と。上手く配置された人間関係が、絶妙なスリル感を生み出し、ストーリーの好き嫌いに関わらず、人を魅了する引力を持つ作品に仕上がっている。