ククレ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのククレのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「マンチェスター-バイ-ザ-シー」って町の名前なんやね。淡々としていて大きな感動はないけど、海辺の静かな風景が荒んだ気持ちを癒やしてくれるような優しい作品やった。

以下はネタバレ…





ケイシー・アフレックがとても上手い。リーは無愛想で終始苛立ってるし酒飲んで暴力振るうから「嫌な奴やな…」と思ってた。過去と現在がシームレスに交錯するから混乱するなぁ、と思って観てたら…なんて悲惨な火事…。そりゃああなるのも仕方ないわな。小さな町やから、みんなが彼のことを知ってるし同情してくれてるのがわかる。だからこそ、町にいられなくなって出ていったんやね。ずっとトラウマを引きずって生きてたんやね。そりゃ、後見人にさせられて困惑するわな。でも、兄貴はそれも全てわかった上で遺言したんやろうな。

甥っ子が面白い。ハイスクールでホッケーしてバンドもしているモテモテイケメン。ジョーの状況とは真逆にあるような陽キャの生活には呆れるけど、彼もまた母の事とか様々な悩みに苦しんでる。みんなそれぞれがいろいろな悲しみを背負いながら生きてるんやね。

リーが前妻と町で偶然会ってお互い慰め合うシーンがとても良かった。リーは「その言葉で救われた」と言ってるけど、やっぱり乗り越えることはできへんわな。考えた上で再び町を出ることにする展開に納得。安易に「過去の傷から立ち直って幸せに暮らしましたとさ」とならなかったのがリアル。
埋葬のあと、甥っ子とぎこちなく歩きながら話すのがとてもいい。少しずつ少しずつ、前に進んでいくんやね。兄貴も二人を見守ってくれてるんやろうな、と感じさせる温かなラストシーンやった。
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