どことなく『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』を思い出すような、再生のものがたり。
喪失の痛み、乗り越えられない悲劇、折れてしまった心…
失ったモノは二度とは戻らない。
Neva Neva Neva…
不器用に、ぶつかり合いながら、探り探り、なんとか光を見い出そうともがく2人…
そう、2人…
1人は子供を自分の過失で失って妻とも離婚して、無気力に生きている男。
もう1人は、父親を亡くした16歳の甥だ。母親はいない。
兄の訃報を受け地元マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻った主人公。遺言で甥の後見人に指名され、面倒をみることになるのだが…。てか、この遺言って、兄からのプレゼンなのだろうってなって、観終わって思う。
再生へのプレゼント…
苛立ち、ぶつかり合いながらも、最後は向き合い、完全に乗り越えたわけぢゃないけど、僅かな希望が見えたようで…
それが正解なのかは分かんないけど…
少しだけ生きる意味を見つけたよね。少しだけでいいよね。とりあえずは…
少なくともドン底ぢゃくなったのだから。
言葉数も少なく、抑制した演技。そこから伝わってくる主人公の底知れぬ深い哀しみ。そして、その深い哀しみが一番の伝わってくるのが元妻ミシェル・ウイリアムズとの再会シーンではないかと…。てか、このシーン、可哀想で見てられない。
この哀しみと孤独を体現した主人公を演じたケイシー・アフレックがアカデミー賞主演男優賞を受賞している。そして脚本賞も受賞。ちなみにプロデュサーは兄のベン・アフレックの幼馴染のマット・デイモン。
マンチェスター・バイ・ザ・シーの凍てつくような冬の厳しさと乾いた空気感は主人公のソレと重なる。そしてラストの厳しいけど、厳しさだけぢゃなく、さり気ないけど、温かさと希望が覗いていた。このさり気なさが秀逸。