乃木介

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツの乃木介のレビュー・感想・評価

3.1
マクドナルドが他人のふんどしと名前を盗んで、自分のものにした会社ということがよくわかる映画。
損得勘定、勝つか負けるかのモノサシしかない人間が主人公。

マクドナルド兄弟が、店のアイデアを思いついた経緯を話すシーンまでがおもしろかった。それ以降は主人公のクズっぷりが延々続く。

演者、制作陣はどれも良い。ただ主人公のクズっぷりがすごい話なので気分が悪い。

マクドナルドがすごいと思ったのは、マクドナルド兄弟が創り上げたもの。プロトタイプを作って試して、カイゼンして、、、と、彼らがやったことは今のスタートアップ企業と同じアジャイル的なアプローチ。彼らはマクドナルドというプロダクトを創り上げたクリエイター。新しいものを創り出し、そのビジネスを楽しんでいる。

既存ドライブインで当たり前だったウェイトレス、皿、ナイフとフォークの排除したり(紙に包んだハンバーガーってこういう理由で生まれたのか!)、データに基づいて不要なメニューを削ったりと、引き算で考えて「顧客が本当に欲しいもの」を軸に考えるMVP的アプローチ。

注文から30秒で提供するために厨房のプロトタイプを作ってオペレーションをカイゼンしまくったり、毎日カイゼンする運営はまさにアジャイル。兄が"Speedy System"と目をキラキラさせながら話す姿はまさにクリエイター。

一方、主人公はフランチャイズ展開で店舗拡大に成功していくが、マナーとモラルを無視して金に物を言わして人の大切なものを奪っていくクズにしか見えない。約束をしても意味がない人間。「勝者になれば正義なんだ」的な考えが見える。

「チーム」「ファミリー」といいながらお前は自分の妻と他人の妻、そしてマクドナルド兄弟に何てことをしとるねんと。こんな会社がハッピーセットを売ってるってなかなか黒い。
乃木介

乃木介