理か

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命の理かのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

動物の代わりに


1939年、ポーランドのワルシャワにおいて、
動物園を経営するヤン&アントニーナ夫妻によるユダヤ人を匿った実話をもとにした作品である。
ワルシャワと言えば、浅学な自分でも知りうるナチスによるユダヤ人虐待が酷かった地域である。ナチスの侵攻が進むにつれ夫妻の知人たちもゲットーに入れられる頃から話が進む。同時期動物園を開園していても客が見込まれない事から閉園の話も出たが。
友人を匿う為に、表向き動物園を存続していく事に決めたアントニーナとヤン。
この時の決心がとても大きかったのだろう。
おそるおそる始めていくうち要領も掴み、ドイツ兵にバレずに日が過ぎていき、組織からの要請でゲットーから人々を救い出していくことになる。
さらに、ヤンが、知人からの繋がりの口利きでゲットーにも自由に出入りできるようになった事から、出来るだけたくさんの人を救出しようと懇願するアントニーナ。
ドイツ人動物学者のヘックがアントニーナに目をつけて頻繁に出入りし、その対応に必死になるあまり夫のヤンにも誤解され非難されてしまう。
だが、匿う事をやめず、挫けず信念を曲げないアントニーナ。
ここに揺るぎない決意が窺える。
最初から命懸けだ。一人であろうが三百人であろうが、バレたら殺される。戦争が終わるまで続けなければだめだ。罪のない人々の命が奪われてはならない。と。
尊敬する先生始め幼い可愛い子供たちが次々とアウシュビッツに送られて行くのになすすべのないヤン。ワルシャワ奪還に立ち上がる。しかし、捕まり捕虜収容所に送られ安否不明となってしまった。
ヤンの行方を探すと同時に情報を得ようとヘックの元に行くアントニーナだが、ユダヤ人隠匿がバレてしまう。
咄嗟に判断してすぐさま戻り皆を逃がすことができたのは幸いだった。
ヘックのおかげか、殺されずにすみ終戦を迎える。ヤンも戻って来れた。
自らの命の危険も顧みず、多くの人々を救った
勇気ある夫妻の話。

日本の『かわいそうなぞう』にもあるように、
戦時となると人を襲う恐れのある猛獣や大量の食糧を必要とする大型動物から処分されていく。何の罪も無いのに。
本作でも冒頭もっと小さな動物でも撃ち殺されている描写がある。その動物たちと同じく民間人を虐殺していくナチスドイツ。
それに対して自分たちの生死も厭わずユダヤ人たちを助ける実話。本作はポーランドだったが、他の国でも心がホッとする実話があるかもしれない。あったら是非映画化して欲しいなと思う。
理か

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