このレビューはネタバレを含みます
テイラー・シェリダン作品と聞いたら見逃すわけにはいかない。「ボーダーライン」も重厚で濃密な空気感を感じたが、そのテイストは本作でも健在だった。
この作品の背景に興味を持った方はググれば、この作品の舞台となったアメリカにおける「ネイティブアメリカン居留地」の真実を知ると思う。私もその一人だった。
原住民から肥沃な大地を奪い、人が住むには過酷な土地に無理矢理押し込めた現実は正に彼らに対するレイプだ。
そして、作品の核となるのもネイティブアメリカンの少女に対するレイプだ。
狭い場所に閉じ込められ、まだ見ぬ外の世界に思いを馳せる彼女に起きたひどい仕打ちは、物語の世界の話とわかっていても痛ましく怒りがわいてくる。
それだけ、この作品には見ているものに問いかける事が沢山ある。
ストーリー全体は決して派手ではないが、どこか不穏で気が抜けない空気が漂い集中力が途切れることはない。沸点となる終盤はまさに必見。これは劇場で見たかった。
ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセンという「アベンジャーズ」キャストだが、二人の静かで抑揚のきいた演技も良かった。
地味ではあるが、多くの人に見てもらいたい作品。