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奇跡の教室 受け継ぐ者たちへのpanpieのレビュー・感想・評価

4.2
今日映画館でハシゴした2本目をまだレビューしていないのに帰ってから観た今作があまりにも感動的で思わず先にレビューしてしまった!

私は学校の先生ではないけど今作よりもっと小さい子供に関係する仕事をしていてゲゲン先生の指導に感銘を受けた。

昨今学級崩壊の学校が増えていると聞いているが全く言う事を聞かない子供達にまず耳を傾けさせる事がとても重要であると思うがとても難しい。
頭ごなしに上から叱る先生やテストで点数が取れないとか落第するとか悪い成績を付けると半ば脅している先生とは違いゲゲン先生は悪い事は悪いと叱るが生徒達の話に耳を傾けまず肯定して受け止め信頼を得て行く。
それは計画的でも利己的でも無く彼女の性格から滲み出ているように思う。
とても素敵だ。
先生じゃ無くてもとても魅力的だ。
こんな人と関わっていきたいと思う人物だ。
そんな素敵な先生が落ちこぼれと言われているクラスの全員にある課題を出す。
アウシュビッツで殺された子供と若者について調べ歴史コンクールにこのクラスで応募してみないか?と言うもの。
恐らく中学生の時にも授業を真剣に受けて来ない子が圧倒的なこのクラスで子供達ははじめどうやったらいいのかも分からず反発する。

ちょっと観てみるかと軽い気持ちでネットで調べたらガリガリの坊主頭の痩せこけた大勢の子供の写真に驚き生徒達はゲゲン先生の授業にいつしか食い入る様に参加して行く。

生徒達が興味を示した時アウシュビッツの強制収容所での生き残りの老人を学校に招いて話を聞く事になる。
当時まだ15才以下だった老人は本当は女性と幼い子供の方に分けられるはずだったが父親や兄と同じ列車に乗り難を逃れたと言う。
腕に番号のタトゥーを掘られそれを生徒達に見せる。
そのうち病弱だった父親が療養所に送られる事になりアウシュビッツには療養所など無い事は承知で療養所=ガス室だと分かっていても行ってらっしゃいと送り出した事などを語る。
生徒達のうち涙を流している子が何人かいたが私は号泣した。(ToT)
まさに少し前に観た「サラの鍵」と同じ内容で老人もはじめはヴェルディヴ事件で逮捕されアウシュビッツへ送られた経緯が「サラの鍵」を思い出させ聞くに耐えなかった。

学校のはみ出し者ばかり集められたクラスの子供達は一度興味を示すとスポンジが水を吸うが如くアウシュビッツに関する資料を集め議論しまとめるまでは圧巻でそれを先生達が印刷を手伝いまさに学校中が一丸となってまとまって行く。
いよいよ大会の開催地であるブリュッセルへ!

そしてラストはいい意味でお決まりでもう何も言う事はなくただただ私は泣き続けた。
昔のフランス映画はラストが後味が悪くて嫌いだったが今作は違っていた。
感動した。
素晴らしい映画だった。

子供って凄い!
若いっていいなぁ!
時として大人になって大切な物を少しずつ忘れて行き子供のおかげでそれを思い出し子供に教わるのだ。
一生懸命打ち込む事に無駄や間違いは無い。
それは人生の糧となり自分の肉や血になる。
そんな事を再確認させてくれた映画だった。
レビューで教えてくれた皆さんに感謝です。
本当に観てよかった。
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