うえびん

ガール・オン・ザ・トレインのうえびんのレビュー・感想・評価

3.5
失意・妄想・狂気

2016年 アメリカ作品

舞台はニューヨーク。離婚の傷が癒えないレイチェル(エミリー・ブラント)は、無職で酒浸り。毎朝電車に乗って、別れた夫と再婚相手のアナが暮らす家の裏庭を車窓から眺める。さらにその近所のスコットとメガンを「理想の夫婦」と美化して、取りつかれたように2人をのぞき見る。

『ボーダーライン』では、女性捜査官を演じてアクションが凄まじかったエミリー・プラント。本作ではアルコール中毒による廃人ぶり凄まじい。失意のどん底を這いずる日々は、見ているのが辛いほどだった。

映像は、回想なのか妄想なのか、時間軸も掴みにくかったけれど、アル中患者の精神と記憶の混乱と理解するとさもありなんと思えなくもない。

主な登場人物の女性3人と男性3人。魅力的な人が誰もいないという珍しい人物造形。人は誰しも内なる狂気を秘めていると思うけど、ちょっと描き方が露悪的。

真犯人が分かった後は『パラサイト』、その後のシーンは『万引き家族』が思い出された。ということは、犯人探しは面白かったんだけれど、その後のインパクト、まとめ方が弱かったんだとも思う。
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