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窓の外側のdm10foreverのレビュー・感想・評価

窓の外側(2016年製作の映画)
3.2
【たかが1時間、されど1時間】

Youtubeにて見つけた「静岡市移住ショートムービー」・・・らしい。

まぁさすがに7分しかないと、主人公の人物像の深堀も人間関係の構築もままならないので、これ以上にもこれ以下にもならないかな・・・というところに落ち着く。

事前に「静岡市移住~」ということを知らないと、全く何のことを言っているのかわからない7分間。
改めてこの設定をみて「あ~はいはい」となる。
(いや、別にヒネリとかメタファーとか壮大な伏線とかがあるわけでもなく、単純に何で静岡なん?程度の疑問に対してという意味でね)。

主人公のマキは「静岡に行くこと」が嫌なのではなく「東京を離れること」が嫌。
それは「東京が都会だから」とか「何でもあるから」とか、きっとそういうことではなく、今まで自分も含めてそこで動いていた日常の中から、ある日突然自分だけが切り離されて「別のパーツ」になってしまうかのような疎外感を感じてしまうからなのかもしれない。

(あの中から自分がいなくなっても、自分以外のみんなの日常は動いている・・・)

僕も小学生のときに一度だけ転校した事があるけど、その時はやっぱり「新しい学校への不安」よりも、自分だけがこのみんなの輪から離れてしまうことの辛さの方が大きかったかな・・・。

そんな感じで、自分の経験を加味した上で観るとマキちゃんの気持ちも理解できる。

でも、やっぱり現実はどうしようもなくて、引越し(転校)という事実も変えられなくて・・・
そんななかで自分の心だけが置き去りになってしまうような感覚になっちゃうんだよね。
それが「窓の内側」にいる自分と、めまぐるしく動いている「窓の外側(=現実)」との間の隔たりにも繋がってしまうのかな。

でも「住めば都」という言葉もあるように、自分から窓の外側の世界に飛び出していけば、そこにはまた新しい世界が広がる。
新しい景色があり、新しい友達がいて、新しい恋も生まれる。

人間出会いの数だけ別れもあるなんていうけど、その分だけまた新しい出会いもある。
そんな事を繰り返しながら生きていく生き物。

要は自分がそれを求めるかどうか。

作品の時間自体が短いので何かしらのビッグウェーブが押し寄せるというほどでもないんだけど、子供の頃に「自分発信ではない別れ(転校や引越し)」を経験した人にはちょっと気持ちがわかるんじゃないかな。
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