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「大切なことは、後になって分かる」ってちょっと風変わりなお父ちゃんが言うんですけどね、ほんとにそうだなって思ったんだけどね、それでもその瞬間瞬間に、大事なもんは大事だって思えるような余裕を持っていられたらいいのになって、あくまでも理想でしかないけどさ。仕事ばかりのなんだか笑顔の少ない娘、クセのあるお父ちゃん。娘はお父ちゃんをどこか鬱陶しいと思ってて、なんとも言えない距離感があるんだけど、お父ちゃんはいつだって娘のことを心配してるんだよね。幸せか、人生楽しいか、って。いくら大人になったって、父にとっちゃ娘はいつだって可愛くて大切な子供のままなんだろう。余裕がなくなっちゃうのはいやだなあ、仕事ばかり、完璧であろうとするのって、疲れちゃうよ。なんだかいつでも笑顔がなくて、仲間といても心ここにあらず、な彼女の姿がちょっぴり悲しかったなあ。だから最後のパーティーで、ドレスがうまく脱げなくて泣きそうになって、吹っ切れて裸になっちゃう姿はとっても気持ちよかった、潔ささえ感じた、あのお父ちゃんの血が通っていて、ふたりは紛れもなく親子なのだなあ、と、なんだか嬉しくなった瞬間だった。だからブルガリアの魔除けの格好した毛むくじゃらのお父ちゃんに、パパって言ってハグした姿には素直に涙が出たよ。
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