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愛を綴る女のslowのレビュー・感想・評価

愛を綴る女(2016年製作の映画)
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時代が自由な恋など許さず、ただ剥き出しとなった欲望は当然のように世間からあぶれてしまう。愛とは何たるかを知らないまま、少女は大人になり、非情な結婚を甘んじて受け入れるしかない。冷淡な言葉で身を守ってはみたものの、膨らむのは虚しさばかり。そんな彼女の前に現れた人。その声、その指、その肉体。まさに理想通りの王子様。彼女は運命の糸をピンと張り、弛まぬように、伝わるように、人の妻であることなどお構いなしに、想いの全てを注ぎ続ける。

マリオン・コティヤールの声が凄く若く聞こえたのだけど元々?少女のように無垢で我儘で、切れ味鋭い声。それがとても役に合っていた。彼女の魅力が凄く作品を引っ張り上げていたし、脚本も素晴らしい。しかし、これらは陰の立役者がいてこその出来。その意味は観て確かめてもらいたい。
何かひと昔前の映画を観たような。彼女の人生を蔑んだり、都合のいい言葉で片付けたくはない。どうにもそんな気持ちになる映画。背徳のミステリーは沈黙を透過しながら、真実の愛のドラマへと変わる。
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