ばーどイヌサンローラン

わたしは、ダニエル・ブレイクのばーどイヌサンローランのレビュー・感想・評価

3.0
ポスターから、この4人は家族なんだとばかり思っていました。違うんだよね…



倒れて、働けなくなったのに、給付も貰えず、行政の対応にたらい回しになる主人公。真面目な人間が馬鹿を見る、生きづらい世の中っていうなんなんだろう?と思う。無知だと損をする。どこの国でも一緒だ。日本だって…



大工として真面目に40年間働いてきて、キチンと税金も納めていているのに、書類に不備があるとか、規定通りぢゃないとか、あーでもない、こーでもないと、まるで揚げ足を取ってるかのように、全てはじかれる。やり直し。しかもシステムが煩雑すぎるし、手続きは助ける為のものぢゃなく、省くための手続きかよ!って…



次から次へと、はい、却下、はい、やり直し!ってギャグかよ!って…、だけど、これがイギリスの現実。



無駄な長時間残業はしないにこしたことないし、仕事の効率化を図るのは良いことだし、わかるけど、明らかにおかしいだろうって役人も思ってるのに、何にも出来ないだから…



だって主人公が、もう無理だと思って申請を諦めた瞬間、親切な職員が『求職者手当の申請は続けてください。給付のための面談も続けてください。途中でやめて、正直な人がホームレスになったのをわたしはいっぱい見てきましたから』と説得してくるのだ。


おかしいよね。明らかに行政のやり方がおかしいと思っているのだよ、職員も。それなのに…





ケン・ローチが言いたかったことが最後の行政に向けて書かれた手紙に集約されている。



「私は依頼人でも、顧客でも、ユーザーでも、怠け者でも、詐欺師でもない。きちんと税金を収めるまっとうな市民だ。身分の高いものには媚びないが、弱い者には手を貸す。私はダニエル・ブレイク。人間だ。犬ではない」




これが言いたかったから引退を撤回したのだろうか、と思うと、切ないし、胸が締め付けられる。だって、少し先のわたしたちのことを見てるようで…



今はまだなんとか分かるけど(気がするだけ?)、どんどん年をとって、ついていけなくなったら、規定通り出来ないのだから、してあげられません、って言われる気がして…



なんか、書けば、書くほど、まとまらなくなってしまう、そんな作品だ、