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わたしは、ダニエル・ブレイクの655321のレビュー・感想・評価

3.9
今、観て良かった。
そして今だからこそ観て欲しい。

社会システム云々。
それは勿論語られるべき部分だ。
なるべく取りこぼさないように網目を細かくすれば、そのぶん重くなる。重ければ遅くなる。当然だ。
今、より身近にそれを感じている。


それはそれとして。

この映画は“どうあるべきか”に寄り添ってくれる。
答えは明確に語られる。

“当たり前の権利を要求する
 敬意ある態度というものを”

難しい。
この映画に出てくる人だって、
割合で言えば良い人ばかりだ。
どうして「社会」や「組織」などというひとかたまりになるとこれだけ冷たいのだろう。
いや、どうして?という問いに答えるのは簡単だ。
システムを運用するはずがシステムに運用されているからだ。
「ひとかたまり」は大きくなればなるほど、個人の温度は散らばっていく。


まずは目の前のアナタに敬意を。
次に隣人に敬意を。
そしてまだ見ぬアナタに敬意を。

難しいけど簡単なはずだ。
敬意を払う。
それだけで最期に泣いてくれる人がいる。
それが何の足しにもならないとは言わせない。
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