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お嬢さんのsatoshiのネタバレレビュー・内容・結末

お嬢さん(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

 R18に認定されるほどの変態性が話題の韓国映画。時間もあったので鑑賞しました。

 確かに変態的な内容を含んでいる作品ですが、非常に現代的なテーマを取り扱った作品でした。変態版「マッドマックス 怒りのデスロード」とでもいうべきですか。

 本作はミステリで、ストーリーは三部構成です。それぞれ「珠子篇」「秀子篇」「解決篇」といった感じです。

 「珠子篇」を見ているときはまさにサスペンスという感じです。ですが、「秀子篇」から印象が変わってきます。秀子は幼少のころから変態である叔父から「教育」をされていて、淫語を言わされるわエロ本を朗読させられるわ変態的な仕置きをされるわ虐待をされていることが明らかになるのです。そして、秀子に惚れた詐欺師と屋敷を脱出する計画を立て、その過程で計画遂行の為の道具でしかなかった珠子に惚れるのです。そして「解決篇」で珠子と協力して、詐欺師を出し抜いて屋敷を脱出するのです。

 観るとこの映画、「女性賛歌」という非常に現代的なテーマを扱った作品なのです。「女性」としてではなく性処理の道具としてしか見られていなかった女性が解放される話です。面白いのは、最初は男の手を借りて脱出しようとしていた秀子が、最終的に珠子という女性と共に脱出する点です。詐欺師は珠子を罠にはめますが、珠子と秀子はその先を読んでいる訳です。つまり、女が男を超えた瞬間です。

 こう考えてみると、「エロい」ことも重要な要素です。私たち男というものは、とかくAVやら何やらで女性をそういう目で見ることもあると思います。その誇張された代表が、あの変態叔父だと思いました。今作を見て少し期待した自分は少なからずあの叔父と似通った部分があるのかも、と不安になりましたね。

 最期に、詐欺師の男は不憫でしたね。彼は多分秀子を愛していたと思いますが、最後は指詰めの末に死にますからね。ラストに「守れてよかった」という台詞がありますけど、確かに彼は愛する人のために命を張った漢であり、同時に男としての矜持も守ったのです。
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