面白かった。令嬢秀子、侍女スッキ、そして詐欺師を演じる３人が良い。エキゾティックなプロダクションデザイン、ツイストするコンゲーム的ストーリーだけでも充分惹きつけるけれど、奇抜で濃厚な展開と共に微妙に違った顔を見せていく３人がすごくスリリング。支配から自由へと強く手を組む痛快なシスターフッドに対し、とことん下衆野郎の詐欺師も悪役というには滑稽な悲哀が見えて非常に巧かった。大変だけど儲け役だと思う。宗主国日本、植民地朝鮮、その曖昧な中間の関係性を反映し、敢えて様式的主従関係を用いたこの３人の、犠牲者でもあり共犯者でもある残酷さと悪趣味と美しさの表裏一体なバランス。政治と色と金と欲にまみれ、霧や雨と情念の湿度が高く過剰にエロティックな中に、しれっと乾いたユーモアがあるお伽噺。桜にぶら下がった画とお嬢さまがお美しい。
