dita

オリ・マキの人生で最も幸せな日のditaのレビュー・感想・評価

4.0
@ シネ・リーブル梅田   

「イタリアの種馬」ならぬ「フィンランドの優男」の物語に、わたしもどうやら恋をしたようだ。自転車二人乗り、凧揚げ、水辺…この監督さん、ヤスミン好きなんじゃないかなと思ったり。

勝負ごとの世界で「勝ち負けよりも大切なこと」なんてないと思っているし、周囲が期待するものは勝つことだ。オリの行動に「おいコラ、力石はなぁ…」と言いたくなったのも事実。でもあんな恋人がいたらしゃーないと思わされるくらいに彼女が素敵すぎたし、最終的にはリングに立って闘うために自らをとことん追い込んだオリにごめんなさいってなった。彼は自分が今何をすべきかをわかっていたからこそ、自らに期待しすぎて目標を見失うこともなかったのだと思う。そりゃ大好きな人に「あなたに勝手期待をして失望する人がいてもそれはあなたのせいじゃない」なんて言われたらねぇ…いくら払ったらその台詞もらえますか。わたしも好きな人に使っていいですか。

スポーツビジネスや人気商売において、その人の価値を高めることは必要だと思うから、マネージャーの苦悩もよくわかる。でも、人生の「価値」は「勝ち」だけじゃない。等身大の自分に等身大で接してくれる人、その人の価値ではなく、その人の存在を愛してくれる人がいる。勝負の世界で必要なのは欲、人生に必要なのはあなた。人生で最も幸せな日、どちらを選んでも、そして人生はつづく。
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