kotchan

LOGAN ローガンのkotchanのレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
4.6
何というリアリティだろうか。
これまでの『X-MEN 』作品とは違いすぎて戸惑いました。ジェームズ・マンゴールド監督がインタビューで語っているように、過去作とは一線を画すクリエイティブな作品性。西部劇でありノワールであり、チャールズ、ローガン、ローラの旅は親子3世代のロードムービーのようにも感じます。

X-MENの中心だったチャールズとローガンが"人生の終着点"に向かう姿は、ただひたすら生々しい。ミュータントとして戦ってきた過去=いわゆるアメコミ作品らしさは完全に消え、感情を剥き出しにする彼らが痛々しく映る。人生の晩年、殊更落ちぶれた2人はファンであればあるほど気持ちがかき乱されます。

親子愛あるいは家族愛のメッセージ性が強く押し出され、チャールズ、ローガン、ローラの旅は家族の形成であり、本物の家族と触れ合う平和な瞬間にその想いを確かなものにしていく。
思い返せばチャールズは、長きに渡ってローガンの代父として彼の運命を導いてきた存在であり、ローガンがチャールズを介護する様子は我々の将来の姿と何ら変わらないけれど、無性に心が締め付けられる。こんな2人を見たくはなかったし、リアリティが強すぎて苦しくなる場面でしたね。

抗いきれない人生の終焉へ向かう2人と、躍動感あふれ生命力が漲るローラを同軸に捉え、物語は徹底してシリアスに動いていきます。
奇跡なんてない‥‥
けれど、不死身ではないローガンは決して牙の抜け落ちたウルヴァリンではないし、ローラに対する"父性"が芽生えていく姿は、どうしたって涙が溢れます。

獰猛な野性と荒々しさの裏側に優しさを持つローガンは、初期作品の頃の彼と何も変わっていなかった。全く異なる作風ながら、多くのファンが愛したローガンの本質がとても丁寧に描かれていて本当に嬉しかったですね。
初めてヒュー・ジャックマンを知り、あっという間に魅了された思い入れの強いシリーズ作。
彼のファンで良かったと改めて思わせてくれる、魂を揺さぶる傑作です(๑˃̵ᴗ˂̵)
kotchan

kotchan