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LOGAN ローガンのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

とてもヒーロー映画とは思えない、生々しくて、重々しい、ハードコアな世界観が斬新でした。
ローガンはリムジン運転手として働き、プロフェッサーXは介護が必要な状態と、かつての栄光は見る影もなく…。
“ヒーローの黄昏”とでも言うべき、ヒーロー達の年老いた姿を見るのは衝撃的でしたし、ヒーローの最後をここまで真正面から捉えた作品も他にないでしょう。

そして、そんな重苦しい空気に対応してか、アクションシーンもより過激に、血生臭いものになっています。
これまでのウルヴァリンシリーズでは、爪の使い方に物足りなさを感じていたので、爪を使った本気のアクションがようやく見れたなと。
しかも、突き刺さった爪が顔面から飛び出たりと、想像を超える映像になっていて驚かされました。

また、驚かされるという意味では、ローガンの娘こと、ローラにも驚かされましたね。
ローラを演じるダフネ・キーンの眼光の鋭さ、獣臭さは、一発でローガンのDNAを感じさせますし、大人達を容赦なく切り裂く姿は清々しさすら感じさせます。
幼女の殺し屋と言えば、『キック・アス』のヒット・ガールが思い浮かびますが、ヒット・ガールにも負けず劣らずのインパクトを残したのではないでしょうか。


過去のウルヴァリンシリーズと同様、いやそれ以上に今回のローガンには、ありとあらゆる困難が襲い掛かります。
プロフェッサーXの介護、ローラとの出会い、マンソン一家の悲劇…。
そして何より、彼自身もまた大きな問題を抱えていると。

悩み、悲しみ、怒り、苦しみ、葛藤し続けるローガン。
しかし、どんなに厳しい状況に置かれても、結局、彼はヒーロー然とした振る舞いをするんですよね。
決してプロフェッサーXを見捨てないし、何だかんだローラをエデンまで連れて行くし、困っていたマンソン一家も助けてしまう。

以前の様な圧倒的な体力もなければ、優れた仲間もいない。
あるのはボロボロの体ぐらいだけど、それでも自分がやるべき事をやる。
本文の冒頭で「とてもヒーロー映画とは思えない」と書きましたが、最後までヒーローとしてあるべき姿を見せ続けたという点において、やはりこの映画は“ヒーロー映画”であるのでしょう。

そんなローガンの姿を間近で見ていたローラは、間違いなくローガンの精神を受け継いだはずです。
ローガンを病院に運んだり、運転を代わったり、…それに、彼女は最後までローガンを見捨てませんでしたから。

そして、ローガンの姿を見ていたのは、何もローラだけではありません。
私達、観客もまた、ローガンの最後を見届けた者の責任として、彼の精神を少しでも受け継いでいきたいものですね。
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