シノミー

ハクソー・リッジのシノミーのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.7
映画館で観るべきだったと後悔させられた。
人を殺せない軍人、デズモンド。
戦時中にそんな生ぬるいことを言ったら日本なら殺されているかもしれない。
そう言った意味では彼は恵まれていた。
美人な奥さんと息子思いの父親、周りの兵士たち。
人を殺すのが戦争だ。それが任務だ。
それが人を守ることにつながり、人を殺さなければ戦争には勝てない。
皆がデズモンドと同じ性格なら、戦争には負ける。当然だ。
だけど、世界中の人々がデズモンドと同じ性格なら、戦争など起こらないんじゃないか。
75名もの救出劇。死地からの脱出。
息を呑むほどハラハラするシーンが続く。
相手はあの日本軍だ。
死をも恐れぬ、天皇陛下に忠誠を誓った歴戦の兵士たちだ。
これをアメリカ目線で見るのだから皮肉な話だ。
だけど、話の本筋はあくまでデズモンドだ。英雄とか神だとか讃えられても彼はあの戦地で死んでいった者たちが、本物の英雄なんだと言った。
一瞬にして奪われる命。これから何十年も笑い、語り合い、愛し合う者たちの命は儚く散っていった。
この映画に映されているのは紛れもなく本物の英雄たちだったと思う。もちろん沖縄の兵士たちも含めて。
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