おそらくそういう若者は世界中のあらゆる時代にいたと思うけど、『ライ麦畑で捕まえて』は多分10代の頃に最も影響を受けた本の一つだ。16歳から18歳にかけて毎年一度は読んだ。20代になって、村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』も読んだ。
ご多分に漏れずホールデンは自分の代弁者だと思ったし、この映画の中に出てきたイカれたファンと程度の差はあれ大して違ってなかったと思う。
だけど、作者のサリンジャーについては全くと言っていいほど何も知らなかった。10代の僕はホールデンには夢中になっても作者については何も調べようとはしなかった。ホールデンはこんなにもサリンジャーの生き写しだったというのに。
サリンジャーが生きた時代も、彼女を大俳優に奪われたことも、第二次大戦に従軍しトラウマを負ったことも、その後瞑想に傾倒していったことも、何一つ知らなかった。もちろん映画が全て事実を語ってるとは思わないけど、サリンジャーについてより良く知れたのは良かった。
ウィット先生、本当に良い人だな。あの人がいなければ『ライ麦畑』は書かれなかったのだろう。
もう一回読みたくなってきたな。