SPNminaco

ペーパーマン PaperManのSPNminacoのレビュー・感想・評価

ペーパーマン PaperMan(2009年製作の映画)
-
執筆のため田舎の家に来た作家リチャードの頭の中には、常に“キャプテン・エクセレント”というスーパーヒーローが住んでるという設定。妻に頭が上がらずスランプに悩む情けないおっさんをマヌケ顔で演じ、知的な役とバカ役の振り幅激しいジェフ・ダニエルズ。そのイマジナリー・フレンドでツッコミ役の、チープなスーパーマン風コスプレ&金髪ライアン・レイノルズは、既にこの頃からダメヒーロー姿が板についてる。ところがそんなコンビの掛け合いよりも、地元女子アビー演じるエマ・ストーンが見せ場をさらってしまうのだった。
子供用自転車をキコキコ漕ぐリチャードは、未だ子供じみた大人。自分に価値を見出せず、何かを残したいと焦るがその手で何を為すべきかわからない。リチャードの孤独を癒していくアビーもまた心に傷を持ち、日々ウンザリしながら踠いてる。彼女を想い付きまとうキーラン・カルキンの存在は、“キャプテン・エクセレント”と同じ秘密の友達だ。そしてリチャードが書くべきものは、アビーが「有り合わせで作るスープ」と同じ。孤独とダサいソファを受け入れた時、ヒーローは空へ旅立ち、彼は本を書き上げる。
コメディタッチから次第にシリアスなドラマへ変化し、スウィート&ビターな着地。スーパーヒーロー部分は浮いてるが、カルキンとレイノルズの会話がしみじみさせた。無力さを紛らわすのに料理や折り紙、手を動かしたくなるのはわかる。リチャードの妻リサ・クードローにも内面描写があり、オープニングと呼応したエンディングも良し。でも何より、まだ少し幼さを残したエマ・ストーンが輝いてたなあ。
SPNminaco

SPNminaco