次男

鋼の錬金術師の次男のレビュー・感想・評価

鋼の錬金術師(2017年製作の映画)
2.9
外国人を日本人が演じるという無理・コスプレ大会・棒演技・原作の要素抽出による駄脚本・キャラ改悪、おおよそ「実写化」で非難されるすべてを網羅しちゃってるのは事実。ヒューズ大佐の出のシーン、エド、というか山田涼介さんが「ヒューズ大佐!」って言ったとき、「いやいやヒューズ大佐じゃないじゃんよ佐藤隆太だよ」って反射で思っちゃったし、その感じはずっと続いた。でもまあ、もはやこれだけ続くとそれは様式美の域な気もするんだけども。

レンガの街並みとか汽車が走る風景とか、映像は美麗で素敵でした。CGも、そりゃ海外のものと比べると辛いけど、十分エンタメできる迫力があって、すごいなあって。

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にしても、演出的な間の悪さがあらゆるシーンで散見されて、そっちのほうが問題じゃないかなあと思う。見せ芝居をたっぷり見せるからいちいちテンポ悪いし、テレビドラマ的に傍観者のリアクションまで拾うからかったるいし、てか戦闘シーンってカット足りてなくない?蓮佛さんを庇ったディーンさんが腹刺されるところとか、定石から2カット足りないと思うし、ずっとそんな感じ。ずーっと疾走感が足りない。

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王道ファンタジーではあるけど、ハガレンって意外と内容むずくて、「海賊王に俺はなる!」ほどシンプルじゃないじゃんすか。エドとアルの旅の目的を達成させるための手段と、ホムンクルスたちの目的と、軍部のみなさんの目的って、一致してそうでしてなくて。この映画のノリづらさの原因は、目的を混同させようとあやふやにさせたことなのかなーと思う。個人のドラマと世界の抱える問題と過去の遺恨とを、大して説明もせずにごちゃ混ぜにしたこと。

じゃあどうすれば…って思っても解決策が微塵も思い浮かばず、結局頭をよぎるのは「日本で映画で実写化するべきじゃなかった」だったりして、むむむ…。

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ポジティブな要素が少ない中、水石亜飛夢さんのアルはすっごく良かったと思う。モーションアクターからの起用という流れも含めて。
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