YasujiOshiba

ひばり農園のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

ひばり農園(2007年製作の映画)
-
備忘のために

歴史的には1915年のオスマン帝国軍の武装兵士によるアルメニア人大虐殺を描くもの。原作はアルメニ系のイタリア人作家アントニア アルスランの『ひばり館』(翻訳は早川書店、2006)。タヴィアーニ兄弟は、この物語を読んで、いまだにアルメニア人たちの正義が回復されていないことを恥ずかしく感じ、この映画を撮ったという。

イタリア語版のDVDにはモーリッツ・ブライプトロイのインタビューもあった。ドイツ人の彼が、民族的な虐殺というとすぐにドイツがとりざたされるが、歴史のなかではなんども繰り返されてきたし、それをこうやって語ることは重要だという。そこそこ流暢なイタリア語で話していたので、へえと思ったのだけど、それだけではなくて、ドイツの人たちが抱えてる歴史意識の複雑さ垣間見るようだった。

美しく主人公ヌニク Nunik を演じたパス・ベガは存在感があった。タヴィアーニ兄弟は彼女を依り代にジャンヌ・ダルク的な表象を狙ったのだろう。そういう意味では、古典的な雰囲気を作り出してくれた女優さん。

それから女主人アルミネ Armineh 役のアルシネ・カンジアンの表情。彼女は実際にアルメニア系の人なんだそうだが、ファティン・アキンの作品なんかにも出てるんだね。見てみたいな。
YasujiOshiba

YasujiOshiba