チッコーネ

女の意地のチッコーネのレビュー・感想・評価

女の意地(1971年製作の映画)
4.0
脚本の大筋は「銀座の夜の蝶たちの栄枯盛衰物語」なのだが、ポルノとサイケの時代を意識した場面づくりが功を奏し、保守的なメロドラマへの陥没を防ぐ。
メインキャラクター・異父姉妹の居室は色の氾濫が悪趣味だが、レズショウが繰り広げられるサパークラブおよび、本番ショウが繰り広げられる秘密クラブの美術はなかなか…、照明や編集も幻想的で良い。
また殿山泰司を振り切り席を立つ松原智恵子を追うショルダーカメラがゆっくりと振り向き、制止に入った浜木綿子をも同時に収めるワンカットがドキュメンタリーのように生々しく、印象に残った。

役者陣はウェットだがくどくない演出によく対応しており、各場面で「余韻の表情」をしっかり残す。
清純路線が鼻についた松原智恵子は本作で「堕ちゆく女」を気丈に熱演、また後年は口やかましいオバハンぶりの鬱陶しい浜木綿子が、若く美しい。
山本陽子、梶芽衣子は後半でカメオ。

本作が製作された1971年は日活が一般映画から撤退した年。
監督はテレビに活路を求めた後、角川春樹の目に留まり、映画にも復帰した様子だ。
音楽を担当した鏑木創の仕事も、冴えている。
近年HOT WAXから出たコンピレーションに、本作から数曲が収録されているのだが…、バカラック調の劇伴はあれど、秘密クラブ場面の「セックス、セ~ックスという囁き+悲鳴に近い喘ぎ声」というキラーチューンはない様子、入っていたら買ったのに。