チッコーネ

ローラのチッコーネのレビュー・感想・評価

ローラ(1981年製作の映画)
3.7
ファスビンダーがリメイクした『嘆きの天使』、オリジナルに比べ男性主人公への演出に尊厳を残すほか、開発がらみの利権をめぐる戦後西ドイツの社会派ドラマが、戯画的に付け加えられている。
歌えるバーバラ・スコヴァを大々的にフューチャリングした、売春宿のステージ場面や良し。
特に素性が露見する『Capri-Fischer』は、リタ・ヘイワースも真っ蒼なハプニング連続の一発撮り。
フィッシュネットのローブを引き裂き髪を振り乱し、イヤリングを投げ捨て肩車に乗る狂態だけでも、本作を観る価値あり。
サントラとして残された音源が現在、非常に入手しにくいのが残念…、才色兼備で未だ存命の彼女は、再評価の価値を充分に有す。
美術は舞台風、照明の色彩感覚も相変わらず独特で、悪趣味なほどのキッチュ画面が頻出する。
ポップなタイトルロールも相俟って、アルモドバルに与えた影響力の大きさに思いを馳せた。
役者は一様に魅力に溢れ、監督組の顔触れも観られるが、個人的に本作で最も印象に残ったのは、マリオ・アドルフ。
白髪混じりのフサフサ髪でアジョシのフェロモンムンムン、応じるローラも相当なタマ(←ここ重要)だが、教会式後の即浮気を誘導するゲス男ぶりがエロ過ぎた。